<参照・引用/藤沢未来ネット2021Summer>

Doctor's Voice! 25 2021.8.30 小林 勝

コロナ禍と運動不足

 竹内整形外科院長 竹内鉄夫先生

 2021年Summer 26号 (公益財団法人 藤沢市未来財団)

 

藤沢市医師会のご協力により、体や健康についてスポーツ医学を中心に、医学の面から見解や助言を掲載していきます。スポーツをされている方、これからされる方、ぜひ参考にしてみてください。

 

昨年来、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で生活全般が大きく変容しました。仕事も学校もお休みになったり、リモートでのやり取りや授業が続きました。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返され、自粛、ステイホームの言葉が違和感なく日常的に使われるようになりました。多くのスポーツイベントが中止になったり無観客開催となりました。この状況で子供から高齢者まですべての年代の人たちで運動不足が顕著になっています。

小学生や中学生が、久しぶりに体育の時間や部活動で走った後に、ふとももやふくらはぎに筋肉痛を訴えて来院するケースが目立つようになっています。

高齢者の方は、外に出るのが怖いということで定期的な受診を控えるようになっています。こういったことから診断や治療の遅れにつながり、重症化する危険が大きくなります。

今年5月初めに開催された日本運動器科学会で、新型コロナによる活動自粛が骨密度に与える影響について、という演題発表がありました。その中で、活動自粛による運動不足で骨密度が明らかに下がったと報告しています。逆に身体活動が高いと生活の質も高く、認知症の予防に寄与し動脈硬化の予防や心血管、脳血管系の合併症の予防にもつながると述べています。さらに、運動を含めた生活の充実度が高いと精神的健康度も高く、うつ(鬱)になりにくいという報告があります。

超高齢化社会の今、更にコロナ禍の今、地域ぐるみの対応が求められます。加齢と運動不足と不適切な生活習慣が相まって起こるロコモティブシンドロームにならないために、介護状態にならないために取り組みましょう! 子供から大人、高齢者まで藤沢市民の皆さんが、いつでもどこでも、座っていても車いすでもできる運動から始めましょう。

私は、まずラジオ体操から始めて習慣化することをお勧めしたいと思います。ラジオ体操は1928年に制定され、日本人ならどの年齢層の方も方も知っています。昔から馴染んでいる運動から始めて、運動することを習慣化しましょう。家庭で、学校で、職場で、施設で、病院で、市民全員がまずはラジオ体操から始めていきましょう。実現に向けて協力します。