<参照・引用/Number WEB> 大谷翔平 2021.12.1 小林 勝

大谷翔平 心臓病のお子さんを励ましました。

 2021年

 大谷翔平_心臓病のお子さんを励ましました

  NumberWEB 大谷翔平は心臓病と闘う「翔平ちゃん」を抱きしめました

 

 <前編>「なんとしても力になりたい」大谷翔平が重度の心臓病と闘う“翔平ちゃん”を見舞いに行った理由

  

イチロー以来となるア・リーグMVPを獲得した大谷翔平。目覚ましい活躍を見せる27歳はリーグMVPに先だって受賞した選手間投票のMVPなどの賞金を、重病で闘病中の小児を支援する非営利団体へ寄付するなどフィールド外では子どもたちへのサポートを行っている。

そんな大谷はメジャー1年目、新人王を獲得したオフに、同じ名前を持ち、重度の心臓病と闘う「翔平ちゃん」のもとを訪れていた――。

翔平ちゃんの母・川崎静葉が当時を振り返った『翔平選手と翔平ちゃん 奇跡のキャッチボール』より、両親がアメリカでの心臓移植を目指し、「しょうへいくんを救う会」として3億5000万円という募金額を集める中で実現した大谷選手との”キャッチボール”の章を紹介する。

 <後編>大谷翔平は重度の心臓病と闘う“翔平ちゃん”を抱きしめた「あったかいね」…19日後、寄付金は3億5千万円に到達し

 

静葉さんは“優しいお兄さん”という印象を受けたと語るが、その場にいた人々も同じような感慨を抱いていたという。

ベルリンハート(編集部注:小児用補助人工心臓のこと)に不調が生じないか、チェックするために同席していた坂口平馬先生は、こう振り返る。

 

「一流選手ですし、どこかツンとしたところもあるんじゃないかと初めは思っていたんです。あいさつして、頭をなでてくれるぐらいかな、と。

 でも実際は、本当に自然体で飾りけのない様子で翔平ちゃんに声をかけてくれたり、さわってくれたり、でした。

 “隣の高校から来ました”、ぐらいの気軽な雰囲気でしたね。野球選手としての素晴らしさと、人柄のふつうさのギャップで、その日から私もすっかり大谷選手のファンになってしまいました」

◆◆◆

うれしかったのは翔平に優しく接してくださったことだけではありませんでした。息子の病気のことを理解しようとしてくださっている、その気持ちが私たちの心を打ちました。

「よかったら、抱っこをしてくれませんか」

「この装置はなんのためのものですか?」

「点滴にはどんな薬が入っているのですか?」

「手術のためにアメリカの病院に行かれるのですか?」

「ご両親は毎日病院で付き添っていらっしゃるんですか? そうですか、うーん、大変ですね」

 おそらくホームページなどで、翔平の病気についても調べてからお見舞いに来てくださったのだと思います。そこまでして、私たち家族のことを気遣ってくださったのがうれしくて……。

ついに意を決してお願いしてみました。

 

「よかったら、抱っこをしてくれませんか」と――。